麻疹流行対策のためのワクチン接種ご希望の方へ |
麻疹の流行に対し、政府を含めた世間が言う「ワクチンを2回接種すれば大丈夫」といた誤解がありますが、これは正確には、「皆がワクチンを2回接種すれば、罹る人も出るけど、流行を防げる」です。個人個人でみると感染発病する人がいます。2016年の関空での麻疹流行でも、ワクチンを2回接種している人が発病しています(表1)。 一方で、麻疹は免疫があれば発病しません。一度かかると一生の免疫がつきます。ただ麻疹に似た症状を麻疹と誤診されていることはよくあります。年代別にどのくらいの人に免疫があるかを検査で測定したグラフが図1です。1950年代〜1970年代生まれの人(40,50,60才代)は9割に免疫があります。 麻疹のような空気感染する代表的な感染症に風疹、おたふくかぜ、水痘があります。 そこで、血液検査で免疫がどのくらいあるかを血液検査で確認し、免疫があれば接種不要、免疫がなければない分だけ接種するのが合理的です。検査は1週間で出ます。麻疹単独の検査で5,500円です。当院では検査セットを格安で行っており、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の4つセットで6,000円、麻疹、風疹、おたふくかぜの3項目セットで5,000円です。 注: 麻疹の抗体を測定する、廉価で感度の高いNT法, PA法は試薬不足で中止になりました。現在はEIA/IgG法のみになります。 ● 当院推奨の方法: 初日に麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の抗体検査を行い、1週間後に検査の結果に基づいてワクチンを接種します。6週間以上後に免疫がついたかどうかの確認で抗体検査を行います。 ● 出発までに1週間ない場合: 初日に麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の抗体検査を行い、麻疹と風疹の混合ワクチンMRワクチンを接種します。4週間以上後におたふくかぜ、水痘の免疫がなければ接種します。6週間以上後に免疫がついたかどうかの確認で抗体検査を行います。 |
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表1)2016年8月関空での麻疹流行時の、患者の過去のワクチン接種回数と患者数。
(*)修飾麻疹は症状の軽い麻疹で、ワクチンを打ったことがある人で麻疹が軽く済んだ人のことです。 出典:国立感染症研究所 IASR |
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図1)誕生年代別の麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の抗体陽性率 麻疹は40代〜60代は9割に免疫があるが、10〜30代は8割以下である。 出典: 名鉄病院 予防接種センター |