狂犬病ワクチンについて

 狂犬病は、日本では撲滅されて久しいですが、先進国を含む世界の多くの大陸では、狂犬病が存在しています。 狂犬病は、ひとたび発病するとほぼ100%死亡する、治療法のない病気です。海外では広くワクチンが流通しており、また研究がすすんでおり、日本の接種スケジュールよりも先進的な接種方法が開発されています。日本でも、2006年にフィリピンで感染し日本で無くなった方がおられました。それ以来日本では狂犬病ワクチンが品薄で、国産ワクチンを予防に使うことが難しくなっています。
 そこで当センターでは海外で流通している狂犬病ワクチンを輸入して接種することを開始いたしました。ワクチン名は、VERORAB、Sanofi Pasteur社製、または、SPEEDA(R) タイ赤十字社製です。1回あたりの接種量は0.5mLを筋肉注射、または0.1mlを2カ所皮内注射です。

  狂犬病ワクチンの接種方法

 (1) 事前に注射していない場合

 咬まれたの対応(暴露後接種といいます):
あまりリスクのない方は、事前にワクチンを打たないと思います。
このような場合は咬まれた後には、次の日程で4回接種します。
咬まれた日
(0日)
傷口を石鹸と水であらってから病院へ行く。できるだけその日に、遅くとも5日以内に行く。
病院では傷口の治療、抗生物質投与、狂犬病ワクチン1回目、抗狂犬病ガンマグロブリンを接種する。
3日後 狂犬病ワクチン2回目を接種する。
7日後 狂犬病ワクチン3回目を接種する。
14〜28日後 狂犬病ワクチン4回目を接種する。
(0,3,7,14-28日と表記します)

 (2) 事前に注射しておく場合

 旅行の接種(暴露前接種といいます)
次の方法で1週間以上の間隔で2回接種します。
0日 狂犬病ワクチン1回目を接種
7日 狂犬病ワクチン2回目を接種
(0,7と表記します)
暴露前接種の効果は十年以上持続します。
1回目と2回目の間隔は1年未満なら有効です。

 暴露前接種を2回以上打った場合の、咬まれたの対応(暴露後接種)
0日 傷口を石鹸と水であらってから病院へ行く。
病院では傷口の治療、抗生物質投与、狂犬病ワクチンを接種する
3日 狂犬病ワクチン2回目を接種
(0,3日と表記します)
初日に4ヶ所皮内接種する方法もあります。


 (3) 研究者など空気感染のリスクがある場合の暴露前接種
0日 狂犬病ワクチン1回目を接種
7日後 狂犬病ワクチン2回目を接種
21〜28日後 狂犬病ワクチン3回目を接種
実験で狂犬病ウイルスを培養する研究者など、空気感染のリスクがある特殊な状況では、常時高い免疫を維持する必要があります。
この場合には、暴露前に3回接種し、半年から2年毎に追加接種することを検討します。
(本来は抗体検査で免疫がなければ追加接種するのだが、日本では検査できない)


 暴露前接種を行うメリット
 (1) 抗狂犬病γグロブリンを接種しないですむ。γグロブリンは血液製剤なので、AIDSなどの感染リスクがゼロではない。
 (2) 渡航先で病院に行く回数が2回ですむ。
 (3) 抗狂犬病ヒトγグロブリンが入手できないことも多い。

 暴露前接種を勧める人
 (1) 病院から離れた僻地に滞在する人
 (2) 動物を扱う人や研究者
 (3) 野犬の多い地域に滞在する人
  などです。

 国産ワクチンを優先的に使用するする場合
 健康保険を使用して暴露後接種を行う場合には、国産ワクチンしか使えません。