輸入A型肝炎B型肝炎混合ワクチン(ツインリックス)
接種後の肝炎検査偽陽性ついて

 当センターでは、海外渡航者の感染予防のため、GSK社製のA型肝炎・B型肝炎混合ワクチン Twinrix(R)を使用しております。
 B型肝炎ワクチンは年齢とともに免疫がつきにくくなる性質があり、国内ワクチンでは30歳以上に3回接種しても免疫が付くのは75%程度で、4人に一人は免疫がつきません。一方輸入ワクチンのTwinrixは成分が2倍量の20μg入っており、3回接種で90%以上に免疫がつきます(図1)。このため、当院では積極的にTwinrixをお勧めしております。
 このように非常に免疫のつきの良いワクチンなのですが、接種後10日以内に健康診断等でB型肝炎ウイルスの検査(HBs抗原)を行うと、ワクチン成分が病原体として検出され(図2)、B型肝炎にかかっていると誤診されてしまうことがあります。
 つきましては、健康診断・人間ドックでHBs抗原の項目がある場合には、接種前か、接種後少なくとも1週間以上、できれば2週間以上後に健診を行うようお願い申し上げます。
 なお、検診項目にHBs抗原が含まれない場合には、問題ありません。




図1)40歳以上で、3種類のB型肝炎ワクチンを3回接種した後の抗体陽性率(免疫がついた人の割合)。
左の黒バーがTwinrixで、95%の人に免疫がついた。中央の白バーはEngerix-Bで、80%、右の灰色バーは国内ワクチンと同様の10μg含有ワクチンで70%である。
J.TravelMed 2011;18:145-148


図2)TwinrixR接種後の血中HBs抗原推移

横軸はTwinrixを接種してからの日数、縦軸は血液中のHBs抗原濃度。接種後7日以内は1.0以上で陽性と判定され、肝炎にいまかかっていると誤診される可能性が高い。

Rysgaard et al. BMC Clinical Pathology 2012, 12:15

アクセス数